「スポーツカーとは、運転そのものがスポーツ」

試乗を終え、帰りの道中で湧き出た思いです。

 

バスケットボール・野球・サッカー、その他様々なスポーツ競技。

それらスポーツは、感覚を研ぎ澄ませ、頭を使い、体の筋肉を時には全力で、時には繊細に動かせる、日常とはかけ離れた非日常的な運動。

スバルWRX・STIを、自分のイメージ通りに、そして思いのままに動かす。

それはスポーツそのものでした。

だからWRX・STIはスポーツカーである。

こう断言できます。

 

では試乗記を。

 

2台目に試乗したのは、快適なXVとは真逆のモンスターマシン、WRX・STI。

もちろん試乗したのは、四国スバル・高知桟橋店さん。

 

最高出力308馬力、最高トルク43kg。

エンジンスペックだけでも、そのモンスターっぷりが分かりますね。

 

<エクステリア>

 

 

フロントマスクは精悍、いや、イカツイ。

この顔が後ろから迫ってきたらコワ〜って感じ。

 

サイドから。

ブリスターフェンダーに収まっているのは、19インチのタイヤ&ホイール。

デッカくて黄色いブレーキキャリパーがホイールの隙間からその存在を主張しています。

 

リアから。

セダン形状ですが、4本出しマフラー&ディフューザー。

これだけでもオーラが漂ってます。

今まで試乗したWRX・STIは、すべて大きなリアウイングがついていました。

ハネなしのSTIは初めて。まさしく羊の皮を被ったオオカミ仕様です。

 

<インテリア>

 

ブラック基調に赤が映えるインテリア。

乗用車では絶滅危惧種に指定されているマニュアルミッション(6速)。

レブリミットはターボエンジンにもかかわらず8000回転。

さらにスピードメーターには280kmまで刻まれています。

 

それにしても… 400万円のクルマにしては、インテリアに高級感がない…

ダッシュボードもパッド素材ではなくプラスチック。ボタン類も他のクルマとの共用部品。

いくら走り優先のクルマとはいえ、もうちょっと色気が欲しいですね。

 

今回はエンジンや乗り心地といった分類に分けず、試乗を始めてから終わるまでを時系列で紹介していきます。

 

<プロローグ>

 

WRX・STIに乗り込み、シートベルトをし、シートポジションをあわせ、ミラーの角度を調整。

クラッチを踏み込み、エンジンスタート。 …エンジンかからない。

「なんでエンジンかからんが?」思わずつぶやくボク。

メーター類やエアコンはスイッチオンになっているのに、なぜかスタートしないエンジン。

プッシュ式のスタートボタンを操作し、一度スイッチを切って、クラッチを再度踏み込み、スイッチオン。

…かかりまへんがな。エンジン。

固まるボク。頭の中はプチパニック。ん〜。

「ああ、そうか❗」

やっと気づいたボク。またやってしまった...

 

WRX・STIに乗り込むたびに毎回やってます、クラッチの踏み込み不足。

軽自動車などと比べるとクラッチの重さがケタ違い。それを忘れてクラッチを軽く踏み込み、クラッチがちゃんと切れてなかったので、エンジンがかからなかったのです。

 

「ふぃ〜」

ようやく冷静になるボク。エアコンを設定し、無事にスバルを出発しました。

 

<まずはコンビニへ>

 

以前親友Mがスバルディーラーマンだった時、試乗の途中でよく寄ってハナシをしたコンビニへ向かいます。

 

四国スバル・高知桟橋店をはりまや橋方面に出て、すぐの信号を左折。この道はポリテクカレッジ高知の前の道。ボクがスバルで試乗する時は必ず通る道。

なぜか?それは道路の状態が良くないから。乗り心地チェックにはピッタリの道なのです。

 

40km以下で走行しながら乗り心地チェック。

スバルディーラーマンの矢野さんに「マイナーチェンジして乗り心地が良くなりました」とお聞きしました。雑誌の評価でも乗り心地が良くなったとのこと。

乗り心地に集中… するまでもなく思いました。

「硬って〜アシや〜」

ちゃんとダンパー仕事してるんかい❗とツッコミしたくなるぐらい。

微小入力の吸収力は上がったのかもしれませんが、基本アシが硬いので路面のうねりや凹凸のままにボディが揺すられます。

 

低回転でのエンジントルクが細いと雑誌では書かれていましたが、それは感じません。極低回転からのクラッチミートでもスルスルっと発進できます。よほどラフな操作をしない限りはエンストしないと思います。

ただ... クラッチが重いので、交差点での歩行者待ちや渋滞時の操作は左脚がピクピクしちゃいます。鍛えられそう。

 

大きいクルマではないので、狭い道でも取り回しに苦労はありませんでした。

そしてコンビニに到着し、コーヒーを買ってしばし休憩です。

 

<土佐塾中高の山へ>

 

コンビニを出て土佐道路へ向かいます。

 

筆山下の道路は少しクネクネと曲がっています。

ハンドリングはXVよりも明らかにシャープ。ハンドルの動きに対してクルマの反応が速い。でも過敏すぎることは決してなく、楽しいな〜と感じるシャープさ。

 

土佐道路へ入ります。曲がってすぐのトンネルではクルマがいなかったので、3速でアクセルをグッと踏んでみました。

速い❗️ 体にかかるGがハンパないです。

そしてXVと同じく、土佐塾中高のある山を登ります。

 

…3速で登ると、ヤバイっす。

なぜならアクセルレスポンスがハンパないから。

登り坂なんか関係ないです、このエンジン。3速だとそれなりの回転数で回っている=ターボ過給も仕事中。アクセルの踏み込みに素早く反応し、強力なトルクでグイッとクルマを前に押し出す感じ。いやもう押し出すというかブッ飛んでいきます。

ヤバイのですぐ4速に上げました。

 

<春野をグルグル>

 

XVの試乗でも走った春野の道路を走ってみました。

 

ここで気づいたのは、路面が少しでも荒れていると真っ直ぐ走りにくいこと。

高速域では安定するであろう締め上げられたアシ。ですが50kmぐらいで走っていると、路面の入力を吸収しきれていません。

サスペンションが入力を吸収できないと、タイヤと地面の接地圧が目まぐるしく変化。するとクルマにヨーイングが発生。結果ハンドルをセンターにしていてもにクルマが真っ直ぐ走らない。

キレイな路面では問題ないのですが、あまりキレイでない路面では普通のクルマに比べて多くのハンドル修正が必要でした。

 

つまりWRX・STIというクルマは、快適性を犠牲にしても速く走ることを目標に作られたクルマだということですね。

 

<2速全開❗>

 

ギアを2速に入れ、ほぼアイドリングからアクセル全開。

唸るエンジン。シートに押さえつけられるカラダ。景色の流れ方が異次元。

チラッとタコメータを見て気づきました。WRX・STIのエンジン、4000回転からさらにパワーが弾けます。

4000回転付近を境に凄まじい速さでレッドゾーンへ飛び込むタコメーターの針。もちろんクルマも猛然と加速。

ショートストローク・ビッグボアの高回転型エンジン。

モンスターパワーに加えて、ピックアップもモンスター級?です。

 

<スバルへ>

 

春野から帰路につきます。

旧・100円トンネルを通って桟橋にあるスバルへ。緊張がほぐれてきたボクは肩をほぐしながら「あ〜疲れた〜」と一人呟きました。

スバルに帰って営業マンさんとのハナシでは、「WRX・STIを自分のクルマにしたくないわ〜」とボヤいていました。

それだけWRX・STIの運転で疲れていたのでした。

 

とっくに終わっていたレガシィの交換修理。

営業マンさんにお礼を言い、スバルを後にしました。

 

<自宅への帰り道>

 

レガシィを運転しながら、この日の試乗に思いを巡らせていました。特に気になったのが、WRX・STIを試乗後にドッと来た疲れ。

前の日はよく寝たハズだよな〜とか、試乗車2台目だったから疲れたのかな〜とか。

 

スバル桟橋店から帰る時は、いつも旧100円トンネルを通り春野から土佐市へ抜けます。つまり試乗で走った道。この道を運転中にふと気づきました。

 

ボクは無意識にレガシィを運転するようにWRX・STIを運転していました。それは普段の運転で心掛けているスムーズな運転。

アクセル・ブレーキ・ハンドルを極力ゆったり動かし、クルマに急なG変化が起きないように気をつけています。

それをWRX・STIで実現しようとしていました。

重いクラッチやブレーキを、力を入れつつ繊細に動かす。重いハンドルをこまめに動かす。

反応がクイックなので、普通のクルマを運転するよりも全身の感覚に集中する。

スピードを出さなくてもスムーズに運転しようとするだけで頭と筋肉を総動員。

つまり冒頭にあるように、WRX・STIを運転することが、スポーツをしていることと同じになっていました。

 

だから疲れたのです。

「約40分間スポーツをしていれば、そりゃ疲れるわ〜」

この思いに至って、やっとスッキリしました。

 

そうして思ったのが、「また運転したい」。

疲れてもまたやりたくなるスポーツのように、疲れてもいいからWRX・STIをまた運転したくなりました。

このブログを書きながらも、「WRX・STI運転したいな〜」という思いが今だに消えません。

 

スピードを出さなくても、クルマの運転がスポーツ=刺激になるスバルWRX・STI。

 

決して飽きることのない日常が待っているかもしれません。